【駄文】ドラマJIN -仁- と久坂玄瑞の辞世の句の話

目次

私は日曜劇場JIN -仁-が大好きです。

日本の外科医である主人公、南方仁(大沢たかお)が江戸時代にタイムスリップしてしまい、そこで医療の時計の針を自らが進めるか葛藤しながら、その時代に生きる人達と共に苦難を乗り越える…のが主軸のお話です。

このドラマが好きな理由はいくつかありますが、やはり一番は「台詞」「言い回し」がとにかく秀逸なんですよね…。そしてこの作品に登場する坂本龍馬(内野聖陽)は、演技力も合わさって【まさに坂本龍馬】と言わんばかりの存在感でした最高。

JINの中で最も胸を撃たれたシーンがあります。


それはドラマシーズン2の第一話。
久坂玄瑞が兵に囲まれた南方仁たちを見て、ただの風代わりな医者だと言って解放させた。どうして…と問う坂本龍馬に「私は元々医者だぞ」の言葉に続けて「坂本、お前は間違えるなよ」と言い放つ。もちろん坂本は何のことだかわからない様子。
南方仁が京都でとある人の治療を行ってる間、久坂玄瑞サイドの話も進む。史実「禁門の変」が起こるシーン。久坂玄瑞は過激派の尊王攘夷派であったと記録されているが、この「禁門の変」は拒んでいた様子。「正真正銘の国賊となりまする!」と必死で訴えるも「医者坊主に戦いの何がわかる!」と押し切られてしまった。それはドラマでも再現されていた。
戦いが始まり、長州藩は惨敗。逃げようとするも幕府側が京都の街に火を放ってしまう。
大混乱の最中、久坂は建物の中で一人、自刃すべく準備を進めていた。そこに坂本龍馬が現れ止められてしまう。

そこでの久坂玄瑞と坂本龍馬のやり取りが!台詞…!が!あまりにも!(やっとここまで書けた)

久坂「攘夷などくそくらえだ!攘夷など本気で信じとる奴がいたらアホじゃ!長州はアホの集まりじゃ!」
坂本「ならどういてそこまで突っ走ったがじゃ!」
久坂「私はこの国をひとつにしたかっただけじゃ。日本は外敵に狙われている。外国に真に立ち向かうためには、まずこの国が一つにならなければならぬ。でなければ太刀打ちなど出来ぬ。だがこの国にその考えはない!長州じゃ土佐じゃ…別の国の人間だと思っちょる。それを乗り越え、ひとつに出来るものが、尊王であり、攘夷であると思った!ひとつになり得るきっかけでさえあれば良かったのだ!!……だが長州は……熱くなりすぎた」
モブ「火が回ってくるで!!」
坂本「久坂…!いくぜよ!」
久坂に庭に跳ね飛ばされ、戸を閉められる、坂本が開いた時には久坂は切腹していた。
久坂「坂本……お前は…間違えるなよ…この国の未来を……」
坂本「久坂ぁぁ!!!!」

ドラマJINより

思わず太文字にしちゃったんですが、その部分に久坂玄瑞の思いが込められまくっている。そこまで久坂玄瑞に詳しくない人間からしても、大変よくわかるこの言い回し。久坂どころか、「尊王攘夷」の目的や意味もわかる。なんなら学生時代に習っていた時より、よっぽどわかりやすいし、染みこむ。切ない。圧倒的に切ない。
序盤で坂本に「間違えるなよ」と伝えたその背景もここで発覚した。辛すぎてやってられない。

このあと京都の街は3日渡って続いた大火事で大惨事となり、治療に追われる主人公。やっと江戸に戻れる、その船の中で坂本が久坂の辞世の句を詠み、内容を伝えるとんでもなく秀逸なシーンがあります。ここも併せて一つ!の勢いなので、ご紹介したい。

坂本「『時鳥 血に鳴く声は 有明の 月より他に 知る人ぞなき』久坂の辞世の句じゃ。故郷を想う私の心は誰にも届くことがなかった…まぁそんなところじゃけんど。なぁ、先生。死んでいったもんらに報いる方法は、一つしかないち思わんかえ?」
南方「それは……」
坂本「もっぺん、生まれてきたい』。そう思える国にすることじゃき」

ドラマJINより

いやもう、これどう思います????
未だ嘗て台詞でここまで感銘を受けたことがないですし、ここまでの展開の中で背負ったものを見事に受け止めているのがよくわかります。もう選挙のポスター全部このキャッチフレーズにしたらいいんじゃね?ってくらい。もう天才。

このドラマJINの中では、久坂玄瑞の思いは坂本龍馬には届いたんです。「知る人ぞなき」とはならなかったんです。よかった(号泣)久坂玄瑞はその賢さゆえにもっと多くのものが見えていて、もっと先が見えていた。常人では理解しがたい志があったに違いありません。


ドラマJINは「医療ドラマ」ではあるものの、下手すれば大河ドラマよりも秀逸に、そして丁寧に当時の時代の混乱さを描けているといっても過言ではないと思います。
主人公が史実より早く生み出してしまったペニシリンも、医療シーンだけでなく坂本龍馬を介して政治にも絡めてあります。こういうところがとにかくすごい!

辞世の句は切ない内容でしたが、久坂玄瑞の志は確かに根付いてると思います。
きっと誰かが見ている、きっと誰かには届く、きっと誰かが繋いでくれる。
そんな風に思える第一話でした。あのね、これで第一話なんですよ。信じられる???
もちろんシーズン2もこの後いろいろなお話が出てきますが、本当にどれも素晴らしいです。円盤欲しい。

この世界のどこかにいる(これを読んでくださった)あなたへ

感謝を込めて

良かったら「いいね」ボタンを押してください!執筆者の励みになります!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次