初めに
この度、子どもが生まれたので、半年間の育休を取得することにしました。プロフィールにも記載の通り、私は20代後半のITエンジニアです。男性で育休を取るのは会社内で初めてで、友人や知人の中でもほとんど前例がありません。そんな状況なので、誰かの参考になればと思い、この記事を書こうと思いました。
子ども(長女)は5月に生まれ、今でちょうど1か月が経ちました。今回は、出産直前から産後1ヵ月までの体験を振り返りたいと思います。
出産日当日
妻は予定帝王切開だったので、出産の日はあらかじめ決まっていました。当日の流れも事前に説明を受けていました。
- 朝9時頃に妻を病院に送る
- 妻から手術時間の連絡を待つ
- 手術時間の30分前くらいに病院に行き、待機する
- 切開のタイミングで手術室に入る
- 切開が始まってから5分ほどで赤ちゃんが取り出される
- 取り出された後、縫合などの後処理が行われる間に、私は赤ちゃんと一緒に手術室を出る
- 手術が完了するまでに赤ちゃんの計測などを行い、妻との合流を待つ
- 妻と合流し、赤ちゃんの様子を確認したら、私は病院を後にして帰宅(妻はそのまま入院)
これらの詳細については、妻の記事でも紹介していますので、ぜひ一読ください。
出産前
朝9時頃に妻を病院に送った後、手術時間が決まる連絡を待っていました。その日の出産予定や婦人科の手術との兼ね合いもあり、手術時間は直前まで不明で、10時ごろから昼過ぎのどこかで行われることだけが分かっていました。近くのカフェで待とうと思ったものの、緊張と不安、そして期待が入り混じった感情で、食欲はまったく湧きませんでした。
手術時間が近づき、病院に到着すると、受付の人から防護服(手術服)を渡され、手術が始まるまで手術室の近くで待機しました。この時、緊張しすぎて少し気分が悪くなっていました。手術室の前で待たされた約30分は、ものすごく長く感じられました。この段階では、「もうすぐ自分の子どもが生まれるんだ」という実感はほとんど持てませんでした。
出産の付き添い
そして、看護師さんから呼ばれて、ついに手術室の中へ!私は血がとても苦手なので、できるだけ手術の様子が見えないように注意しながら入りました。
妻は局所麻酔を受けていたため意識があり、彼女の横に座って励まそうと思っていました。しかし、手術室という独特の雰囲気と、実際に手術が行われている現実に、正直言って気分は良くなかったです。お医者さんからも「気分が悪くなったら倒れる前に教えてね!」と言われるほど緊張していて、言葉では妻を励まそうとしても、顔や言葉のトーンにはそれが反映されていなかったようです。今となっては、もう少し落ち着いて明るく振舞えれば良かったと思いますが、その時は「気分が悪くなって倒れないように気を付ける(迷惑をかけない!)」ということを第一に考えていました。
出産する病院では手術中もスマホで写真や動画を撮ることが可能だったので、一生懸命に記録を残そうと思っていました。しかし、いざ手術室に入ると、想像以上にリアルな手術現場に圧倒されてしまい、写真を撮ることができず、妻の顔ばかりを撮っていました(本当は手術室の雰囲気も写真に収めたかったのですが)。
手術室に入って体感で15分ほど経過した頃、お医者さんから「そろそろ生まれるよ」と声がかかり、「おぎゃあ」と赤ちゃんの泣き声が聞こえました。「やっと産まれた、無事に生まれてよかった」と安堵しました。自分が出産したわけでもないのですが、どっと疲れが押し寄せました。生まれてすぐに赤ちゃんと対面するわけではなく、看護師さんが体をきれいにしてくれます。その間、妻の手術の処置が続いていました。体をきれいにしたらすぐに赤ちゃんと対面できると聞いていましたが、なかなか来ません。聞いていた話と違うなと思い、何か問題があったのかと不安になりました。おそらく15分ほど待ったと思います。
赤ちゃんがおくるみに包まれて対面する段階になり、遅れた理由が説明されました。大きな問題ではなかったのですが、帝王切開で取り出したために肺の中に羊水が残っていて、上手に呼吸ができていなかったのです。肺に残った羊水は機械を使って取り除き、体調に問題がないことを確認してから対面ということになりました。待っている間は心配で早く対面させてほしいと思いましたが、理由を聞いて赤ちゃんの無事が第一優先だと納得しました。
やっと我が子との対面の時が来ました。出産直後の赤ちゃんはお猿さんみたいだとよく言いますが、思ったよりもお猿さんではないなというのが正直な感想でした。小さくて可愛いと思いましたが、この瞬間はまだ自分の子供だという実感が持てなかったため、今ほど「かわいい」「愛しい」という感情は持てていなかったと思います。今ではどうしようもないほど可愛くて愛しい存在に思っています。
赤ちゃんとの対面はおよそ2、3分ほどだったと思います。看護師さんにスマホを渡して、3人で写真を撮ってもらいました。まだ耳が聞こえているかは分かりませんが、話しかけたりもしました。
出産後
写真を撮り終えた後、再び赤ちゃんは看護師さんのもとへ戻されました。私は赤ちゃんと一緒に手術室を出て検査室へ向かい、妻は手術の処置を続けることになりました。妻に「よく頑張ったね、ありがとう」と声をかけ(実際には言えなかった気がしますが)、赤ちゃんの付き添いを任せてほしいと手を振りました。手術室を出ると、少し気分が落ち着いたように感じましたが、看護師さんから「大丈夫?」と心配されました。血や手術室の雰囲気が苦手なだけで体調は問題なかったので、大丈夫と答え、看護師さんと赤ちゃんと一緒に検査室へ向かいました。
検査室では、赤ちゃんの心拍や身長、体重などを測定しました。妊娠中から少し小さめと聞いており、予定日より2週間ほど早く生まれたので、出生体重を気にしていました。2500g以下の場合、低出生体重児と診断されます。(参考:https://www.nicu.jp/baby/)
結果は約2600gで、体重の基準をクリアしました。他にも測定した身長や心拍も問題ないと看護師さんから伝えられ、一安心しました。保育器に入る必要もなく、無事に生まれたことに感謝しました。
一通りの測定が終わった後、看護師さんから「抱っこしてみますか」と聞かれ、「はい!」と答えました。これまで小さい子と接する機会はあったものの、首が座っていない子を抱っこするのは初めてでした。看護師さんに教わりながら、慎重に抱っこしました。抱っこして最初に感じたのは「温かい」という感触でした。子どもを抱っこしながら、妻の手術が終わるのを待ちました。この時間も思ったより長く感じました。手術は全体で1時間ほどと聞いていたので、待つのは15分くらいかと思っていましたが、おそらく30分以上待ったように感じました。
待っている場所は検査室前の廊下で、入院患者さんが私の前を通り過ぎるたびに、赤ちゃんを抱っこしている私に「おめでとうございます」と声をかけてくださいました。嬉しい反面、少し照れくさかったです。
その後、移動ベッドで運ばれてきた妻と再び合流し、3人で写真を撮ってもらいました。妻も普通に会話できる程度には元気で、ホッとしました。漫画やアニメでは出産時に命を落とすシーンがあったりするので、実は心配していました。命を落とさないまでも後遺症が残ることも少なくないと思いますが、無事に手術が終わったことに感謝しました。
最後に
病院に着いてから帰るまで、なんやかんやで2時間ほどかかりました。残念ながら今でもコロナ禍の影響で病院に残ることはできず、私は一人で家に帰りました。さきほどまでの人生の中でも特大イベントだったはずですが、その日は自分の子供が生まれたという実感がほとんどありませんでした。実感は母子ともに退院して、家でおむつを替えたりミルクをあげたりする中で徐々に出てきました。特に夜泣きは、赤ちゃんがいるという事実を嫌というほど実感させてくれます。
思ったよりも長くなりましたので、1ヵ月目の記事は次回に続きを書きたいと思います。
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